び~めんぷろじぇくと「秘密」

<<  page1 / page2  / page3  >>

び~めんぷろじぇくと
 「秘密」
2017年12月24日 19時開演
富山県教育文化会館

第3弾の対談相手は満を持しての登場、えみてん主宰天神祐耶。のとえみと同じく、県内のアマチュア演劇も良く見る天神さん。「観劇後、えみてんのふたりでどんな話をしているの?」と思う方もいるかもしれません。ふたりの対談は、そんな“いつものふたり”の会話が色濃くでるものになりました。

天神「わけわかんない、未知のものが観たいよね。」


 

のと
天神さんはお芝居を観るときにどんな視点で観る?あれ?でもまえ聞いたことがあるよね?普通にお客さん視点で観るって。

天神
そうだね、。基本的には楽しみに行く形。

のと
純粋にお客さんとして観に行く

天神
そうそうそう。ただえみてんを始めて、色んなことを発信していこうと思っている中で、これから観方を変えようかな、って。

のと
いつも感想聞いても「楽しかったよー!」とか「良かったよー!」って感じだもんね(笑)

天神
そうそうそう(笑)正直あまり期待せずに観に行くところがある。ハードルを上げたくないっていう。

のと
多い時年間何本くらい演劇を観てたの?

天神
多い時?多い時…東京にいた頃★1とかは、観てた時期はひと月に十何本とか。それこそ2日に1回とか。基本的には小劇場よりは、大きい(劇場の)ものを観る。誰が見ても価値があるっていうか、面白いとか、売れてるものとか。何で売れているか分かるようなもの。

のと
キャストが売れてるとか、商業的な。

天神
みたい演出家とか。だから、思ったほど観には行ってないのかな。(自分の公演稽古を)やってる時あんまり観に行かない。

のと
アウトプットとインプットは同時にはできないよね。

天神
うん、できない。何もない時に、ああ、これやってんだとか、どうしてもこれ観たいっていうのがあれば、稽古中だったりとかしても観に行けたんだけど。その時は若かったから(笑)

のと
あー(笑)

天神
頭を整理できないというか、引きずられたくないっていう思いが強くて。あの人たち凄いのに、俺はなんだよこれーってなっちゃうの~やっぱり。

のと
そっち?!(笑)

天神
自分を信じられなくなるっていうか。いいものを観すぎると。

のと
そうなんだ(笑)

天神
こういうのになりたいなーっていうのはあるんだけど、でも基本的には負けたくないっていう気持ちが強い。

のと
今回び~めんさんは谷崎潤一郎原作★2だけど、この辺の時代の作品って、馴染みはある?

天神
いやー、ないよね。観るのは楽しい、(自分で)やらないから。

のと
時代的には?この古い時代の作品は?古典作品は観に行ってた?海外国内作品問わず。

天神
あー、あんまり(観てない)かな。シェイクスピアとか、蜷川さんのところは観に行ってた。海外作品とかはあんまり観に行ってなかったかな。

のと
だから、県内でもび~めんさんって割とちょっと異質なものをやってる★3、みたいなイメージ、口コミがあるじゃない?観に行くまでのハードルは…別にそんなない?

天神
ないない。まったくない。

のと
なんでも観るよーっていう感じでしょ?

天神
わけわかんない、未知のものが観たいよね。

 

――多くの作品を観劇しているふたり。さて、どんな風にび~めんぷろじぇくとさんを捉えたのでしょうか。

 

のと 「お客さんを信頼しているんだな、ある意味と思って。」


 

のと
それで実際行ってみて。最初の印象とか感想とかは?

天神
実際行ってみて…あー、まず、場所だよね。会議室?稽古場で使う様な場所。うーん、もうちょっと何かやりようあったかなっていうんじゃないかっていう。雰囲気作りとか。そういうのはやっぱ感じたよね。

のと
入った瞬間に、思ったより「会議室だな」って思った。

天神
風鈴をいっぱい吊ってたじゃん。

のと
あれは素敵だった。

天神
あれは期待値がすごい高くなる装置。「それっぽい」っていう。そういう部分では期待値が高くなった。あるものしか使えない中でどういう風にやるのかなっていうのは期待しちゃう。

のと
演劇って舞台上のものと客席のお客さんの間の信頼関係で作るわけじゃん。ただの棒を持ってきて、「これが金でできた何かです」とかって言われたら、お客さんはそれだと思って見るっていう信頼関係があるじゃない。だから相当お客さんとの信頼関係に比重を置いたというか、お客さんの想像力に頼る部分がかなり大きいなって思って。

天神
そうだね。

のと
これはぼんやり見ていられないなって(笑)

天神
ぼんやり見てられない。

のと
一所懸命前のめりで観ないとこの世界観を楽しむスタート地点に立てないんだなって思った。

天神
そう、一所懸命観に行かないとダメだよね。楽しみに行かないと、自分から歩み寄って、こうやって(腕を組んでふんぞり返って)観ちゃだめだよね。

のと
「(観ている側が)何か面白いことやってくれよ」じゃダメなつくりだから、挑戦的だなって。

天神
そうそうそう。だから、ある意味俺はその集団としてはやってることは正しいなって思ったんだよね。自分たちの持てる力を、ちゃんとその自分たちの持てる範囲で一所懸命やろうとしているのをみて、集団としていいなって思ったんだよね。

のと
ここからここまでは作り込めるけど、やっぱりここからここまでは物理的にも人員的にも無理だからここは諦める、その線引きが上手いというか、割り切ってる感じがあって。

天神
そういうアイディアだったり部分っていうのはやっぱり偉いなっていうか。

のと
お客さんもそれを半分くらいは許容しながら信頼関係で観ているのかなって。

天神
そうだね。そういうところはあったね。

のと
だから、お客さんを信頼しているんだな、ある意味と思って。

天神
12月24日★4だもんね。自分たちもだけど(笑)あ、でもみたくて来てるんだなって。

 

――ふたりの演劇感が見え隠れする会話。いよいよ次のパートからは作品について触れていきます。

 

 

<<  page1 / page2  / page3  >>

 


★1…天神さんは桐朋の演劇専攻で東京に、のとえみは埼玉大の国語専攻で埼玉に大学時代を過ごしていた。そのため、よく観劇に行っており、天神さんはひと月に十数本、のとえみも月に4本前後お芝居を観ていた。お芝居は様々で、国立劇場や池袋サンシャイン劇場といった大きな劇場での上演作品から、駅前劇場や王子小劇場(当時)といった小さな劇場での上演作品まで観にいく機会があった。演劇関係の大学や養成所等に所属していると、役者仲間の出演作品に誘われることも多く、作品のレベルはピンキリであった。

★2…谷崎潤一郎の「秘密」が原作である。作品は青空文庫にて読むことができる。ほぼ原文そのままを台詞として上演されているが、一部脚色された台詞やシーンが追加されている。

★3…県内のアマチュア劇団でも、劇団員や作演出家の好み、劇団カラーによって、特徴がある。劇団フロンティアであれば、幅広い年齢層の劇団員を生かして、家族もの、人生観や生と死のような重みのある作品を上演することが多い。第1弾の演人全開血が滾ってきたぜ!さんは、コメディ色が強い作品が多く、第2弾のエスセナ・セニョリータさんは観劇後にほんのり心が温まるような作品やキャラクターものを得意としている。(ように私は思っている)。今回のび~めんぷろじぇくとさんは異質な、ダークな、といった作品を上演されるという印象である。

★4…公演日は世の恋人たち、家族たちがイベントを充実させているクリスマスイブであった。が、客席は超満員で、世の演劇関係者や地元の演劇ファンは他に予定はないのか!?と若干不安にさえなったものである。


対談写真:紋川あゆみ

対談編集:のとえみ
補足解説:のとえみ